白色以外は何でもありで、暖色系・寒色系・無彩色系といろいろです。茶系の落ち着いた色合いから、赤・紫・青のような高彩度の色まで幅広く選択されます。遠目には単色に見えても張り地に細かい模様があったり、経糸(たていと) と緯糸(よこいと) の色味が違ったりしています。
必ずしも全席が同色ということはなく、東京文化会館大ホール (1961年開館、1995/2014年改修) では基調は臙脂(えんじ) 色ですが、1階席後方から上階に掛けて、黄・青・黄緑色の椅子が点在しています。花畑を模しており、空席を目立たせない効果もあるそうです。
現代では座席が劇場にあるのは当り前ですが、"芝居"の由来が見物人が座った芝生であることからも分かるように、劇場の座席は近代の産物です。芝居小屋の桟敷においては自らの意思で選べた観衆の身体の向きは、座席によって半ば強制的に舞台の方向に導かれたわけです。
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東京文化会館
●目次
1章「施主の時代」から新しい展開へ 1911−1989
2章「芸術家の時代」の開花 1990−1998
3章「観客の時代」の始まり 2000−2010
4章「創客の時代」へ 2011−2018 |
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