■ 書籍紹介
『日本カセットテープ大全』 (日本懐かし大全シリーズ)

cassette

 コンパクトカセットは、1962年にオランダのフィリップス社が開発。1965年に、互換性を厳守することを条件に、基本特許の無償公開に踏み切りました。これにより世界中に普及しました。1979年にはソニーが "ウォークマン" を発売し、80年代に隆盛を極めました。

 国内におけるカセットテープの生産量は、1989年が頂点でした。その数何と5億巻超。録音時間も往復5分(C-5) から120分(C-120) など、様々なものが発売されました。ソニーやTDKからはエンドレス型も発売されました。

 現在日本の大手メーカーでは唯一日立マクセルがインドネシアで生産を続けています。日本国内で年に1千万巻超を販売しているそうです。売れ筋はC-10。
 生産量の約9%はミュージックカセットとなります。演歌・民謡・語学などの需要はいまだに根強いようです。

 同社は2016年に、生産50周年を記念して、"UDシリーズ" (1972年発売) のデザインの復刻版を6万巻限定で発売しました。

133
TASCAM 133 (1981年発売)


長時間テープ TDK D-C180
 テープ速度4.76cm/s、テープ幅3.81mm、トラック幅約0.6mm (4トラック)、テープ厚18μm(C-60) と、オープンリールテープと比べて、その規格上の制約は大きなものです。

 音質向上の一つの柱はテープの磁性体の改良です。TYPE I/ノーマルポジション、TYPE II/ハイポジション (CrO2)、TYPE III/フェリクローム、TYPE IV/メタルポジションの四つが規格化されました。
 国産のメタルポジションテープは2001年に、ハイポジションテープは2011年に、それぞれ生産終了となりました。



 音質向上のもう一つの柱はノイズリダクションです。S/N比は交流消去のノーマルポジションで50dB内外。ドルビーB/ドルビーC/ドルビーS/dbx/ビクターANRS/東芝adresなど各方式がしのぎを削りました。S/N比の改善は30dBを超えるものもあります。

EC-6M
エンドレスカセット TDK EC-6M
書名
日本カセットテープ大全

発行

辰巳出版
発行日
2015年7月20日
判型
A5判 144頁
定価
1,400円 (税別)
ISBN

4-7778-1494-7

 オープンテープ時代には、小劇場の音響室の広さの制約から、カセット再生機を本番で併用したこともありました。"雨" や"波" など頭出し不要の長物で使いました。エンドレスも試しましたが、1周に1回音が途切れるので不可でした。録音時の消去ヘッドと録音ヘッドの間隔のせいです。

(ステージ・サウンド・ジャーナル 2017年5月号より)