■『MetaDigger』 効果音ライブラリー管理ソフトウェア

 市販の効果音のメディアは昔はアナログレコードでした。キング/コロムビア/東芝 (エンジェル)/ビクターなどが制作販売していました。80年代以降はCDに移行します。
 海外においては、CD・CD-ROMの他に、DVD-ROM・HDDなどがあります。近年はオンラインのダウンロード販売も普及しています。

 効果音の量が増えてメディアもバラバラだと、聴いて選ぶのは煩雑です。これを解決してくれるのが MetaDigger (無料) です。効果音をパソコンに一元化し、データベースを作って管理します。日本語対応で、能率がアップすること請け合いです。

 提供はカナダのトロント近くに本社のあるSound-Ideas社。効果音制作・販売の最大手です。2000年代半ばにプロトタイプが出たように記憶しています。Mac/Winの両用です。既に運用されている方もあると思います。


■ MetaDiggerの概要

 概略を図1に示します。操作によって、元の音声データやメタデータが改変されることはありません。 まず全ての効果音をパソコンの記憶装置に取り込む必要があります。扱えるファイル形式は、BWF/WAV/AIFF/MP3です。
 データならインポート、CDならリッピング、アナログディスクなら録音します。CDは録音しても、肝心のメタデータを取得できないので不適です。アナログディスクを録音した場合は、メタデータは手入力となります。サンプリング周波数は不統一でも構いません。

 メタデータとは、曲名/アーティスト名/アルバム名/ジャンル/発売年などのテキスト情報や、ジャケットの画像情報などを指します。
 MetaDiggerは効果音に特化されており、アーティスト名やアルバム名は扱えません。音楽の管理には不向きです。

 CDをリッピングするにはリッパーと呼ばれるソフトを使います。光学ドライブが必要です。リッパーは数多くありますが、X Lossless Decoder (Mac)/Exact Audio Copy (Windows)/iTunes (汎用) などが代表的です。
 リッピングに掛かる時間と音質との間には相関があります。エラー訂正にも時間を要するので、概ね時間が掛かるほど音質は良好なはずです。

 iTunesではトラック数にもよりますが、最速でCD1枚当り2〜3分以内です。音質を重視するなら専用ソフトを使うとよいでしょう。


【図1】MetaDiggerの概略
■ メタデータの取得

 メタデータは、ネット上のCDDB (Compact disc database) にアクセスして取得します。代表的なものに、Gracenote/freedb (2020年3月終了)/MusicBrainz/Discogs/allmusicなどがあります。これらには世界中のメジャーレーベルのみならず、インディーズや効果音の多くが網羅されており、日々更新されています。

 一部のCD-TEXTを除けば、CD-DA (Compact disc digital audio) にメタデータはありません。CDDBではTOCを基にCDを同定します。トラック数/各トラックの開始位置 (フレーム単位)/各トラックの長さ (フレーム単位) などからディスクIDを算定します。算定方法はそれぞれのCDDBで異なるようです。

                                     → 取扱説明書 (日本語抄) 非公式
【図2】MetaDiggerの画面 (部分)

■ MetaDiggerの実際 (図1参照)

 効果音の取込みが終わったらMetaDiggerを起動します。
 初回のみ全ての音声ファイルをスキャンします。これには大した時間は掛かりません。データベースが構築され全リストが作られます。

 ファイルパス/ファイル名/ライブラリ名/演奏時間などの欄があります。それぞれ昇順/降順にソート (並べ替え) できます。ライブラリ名/説明は、元データと関係なく書き換え可能です。

 日本語・英語を横断してAND検索とNOT検索ができます。AND検索の場合は語句の間に半角スペースを入れます。NOT検索では語句の前に半角のスペースと感嘆符「!」を入れます。
 ファイルパスを検索対象に含めることもできるので、フォルダに分類的な名称をつけて階層管理すると分かりやすくなります。

 図2は<水 !鳥>での検索結果です。「水」を含み「水鳥」は除かれます。検索語は赤字で表記されます。

 検聴し選択したものをプレイリストに加えます。ここからさらに絞込み、目当てのファイルを任意に指定した作業フォルダに複製します。

 動作は軽快です。無料なので文句は言えませんが、次の欠点があります。
 ・波形 (エンベロープ) が表示されない。
 ・1秒未満の短いファイルを検聴できない。
 ・メタデータの無いファイルのスキャン時に、上位ディレクトリ名を、
  ライブラリ名として自動的に取得しない。
 ・M4Aファイルを扱えない。

 類似ソフトに日本製のMUTANT (Mac/Win) があります。

(ステージ・サウンド・ジャーナル 2020年5月号より)