■『Listento』 オーディオ・ストリーミング・プラグイン

● Zoomミーティングについて
 新型コロナウイルスの影響で、オンラインによる会議や研修や飲み会の機会が爆発的に増えました。Cisco Webex Meetings/Google Meet/Line/Messenger Rooms/Microsoft Teams/Skype Meet Now/Zoomミーティングなどのソフトを使われている方も多いことと思います

 講師をしている大学でもZoomを使っています。一時そのセキュリティが取りざたされましたが、バージョンアップも重ねられ、機密情報をとり扱うのでもない限り問題ないでしょう。「ズムキャバ」という新たな分野も生まれました。

 「コンピュータの画面を共有」した時の動画再生と音質に難点があります。
 Zoom Audio Deviceの標本化周波数は48kHzです。ProToolsなどの44.1kHzのセッションを、正常に再生できません。

 会議アプリは、オーディオ面では「声」に的を絞っています。強度のフィルタとノイズ除去処理を施した上に、非可逆的な高圧縮のため、音楽を高品質で伝えることはできません。

 オンライン会議アプリの音質については、次のURLに比較検証の記事があります。
 ◆藤本健のDigital Audio Laboratory
  https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/1248155.html
  https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/1249614.html

 Listentoを使ってみたところ、好調だったのでご紹介します。
● 動作環境など
 このソフトの特徴は、DAWをホストアプリケーションとする「プラグイン」だということです。挿入箇所は、EQやコンプと同じなので、個々のトラックでもマスターでも可です。
 音声は、会議ソフトに関係なく独自に伝送されます。受信側のシステムに見合った高音質伝送が可能です。

 対応しているOSとホストは次のとおりです。
 ◆Windows 8.1/10
 ・Pro Tools 12/2019/2020
 ・Cubase 9.5〜10.5
 ・Ableton Live 9.5 / 10
 ◆Mac OS 10.11以降
 ・上記に加え LogicPro X

サポートされているプラグイン形式は次のとおりです。
 ◆AAX/AU/VST/VST3

送信側の画面

● 送信側
 伝送フォーマットとレイテンシィが選択可能です。レイテンシィは通信環境に応じて調整します。長めにした方が音切れなどの障害は減じます。
 ◆フォーマット: PCM 16/24/32ビット、44.1〜96kHz
          AAC 96/128/192、256/320kbps (Macのみ)
 ◆レイテンシー: 0.1秒〜2秒
 サインインするとURLが発行されます。これを受信者に通知します。
 「Start Transmission」をクリックすると音声が送出されます。


受信側rの画面

● 受信側
 最大40名(箇所) の制約があります。
 受信側は受取ったURLをブラウザで開きます。「Start Listening」をクリックすると音声がONになります。

 サポートされているブラウザは次のとおりです。Internet Explorer やOpera は不可です。
 ◆Chrome/Firefox/Safari (Android はFirefox のみ)
 Safari 12 (Mac) では次の設定が必要です。
 ・環境設定>Webサイト>自動再生>「listento.audiomovers.com」

 もともとリモートセッションやリモート録音向けのソフトなので、レシーバー (受信用のプラグイン) が対になっています。受信側がレシーバーをDAWに挿入すると、送信された音声を録音可能です。複数挿入すればマルチトラックの同時録音も可です。尚トークバック機能はありません。

 Audiomoversより2017年に発売。価格はサブスクリプション方式で、1週間で3.99ドル、1ヶ月で9.99ドル、1年間で99.99ドルです。1週間無料の試用版があります。

(ステージ・サウンド・ジャーナル 2020年9月号より)